ビルやタワーマンションが並ぶオフィス街としての機能をもちつつ、近代建築が保存されて今も使われているのが三休橋筋の特徴です。
古いものと新しいものが調和した街を、ぜひ散策してみてください。

綿業会館

綿業会館

三休橋筋のランドマークとなっている建築は、日本綿業倶楽部の建物で、国の重要文化財に指定されています。昭和初期、紡績や繊維産業で大いに栄えていた大阪、会館は民間の紡績業関係者からの寄付で建設されました。建物のデザイン、素材、設備のいずれにも先駆的な試みがなされ、またイギリスやフランス、イタリアなどのさまざまな様式が取り入れられて、現在に至るまで大切に使われています。倶楽部の会員専用施設のため入館できませんが、レンガの外観、鉄製の扉、アーチ窓などは外から鑑賞可能です。また毎月1回、有料で見学会が行われています。

設計
渡辺節建築事務所(渡辺節、村野藤吾)
施工
清水組(現清水建設)
竣工
1931年(昭和6年)12月31日
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旧日本教育生命保険

旧日本教育生命保険

ひときわ目を引く重厚な建物は、明治〜大正時代を代表する建築家、辰野金吾による設計です。「辰野式」と呼ばれる赤れんがと白い石とのコントラストや石の意匠など、築後100年を超えた現在も美しい外観を誇ります。生命保険会社の本社として建てられ、その後、証券会社、レストラン、結婚式場として活用されてきました。お隣りの日本基督教団 浪花教会とあわせて、近代建築の撮影スポットとしても人気です。

設計
辰野片岡建築事務所(辰野金吾、片岡安)
施工
1912年(明治45年)
日本基督教団 浪花協会

日本基督教団 浪花協会

三休橋筋に面して尖塔アーチ窓が並ぶ、ゴシック様式が印象的なプロテスタントの教会です。1890年(明治23年)にこの地に木造の教会堂が建ち、その後1930年(昭和5年)に、現在の教会が建てられました。設計を指導したのは、日本で多くの西洋建築を手がけたアメリカ人建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズです。礼拝堂にはステンドグラスを通してやわらかな光が降りそそぎ、外観、内部ともに竣工当時とほとんど変わらない姿を保っています。

設計
竹中工務店(ヴォーリズ建築事務所が設計指導)
施工
竹中工務店
竣工
1930年(昭和5年)5月18日
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栴檀木橋(せんだんのきばし)
栴檀木橋(せんだんのきばし)
栴檀木橋(せんだんのきばし)

栴檀木橋(せんだんのきばし)

三休橋筋の北の端にある橋。江戸時代初期、船場と諸藩の蔵屋敷がある中之島を行き来するために架けられました。この橋詰に栴檀の木があったことからその名が付いたとされます。洪水などで何度か架け替えられ、現在の橋は1985年(昭和60年)に完成。欄間パネルには栴檀の木のモチーフが使われ、周囲の歴史的な建造物になじんでいます。夜はライトアップで輝きます。

竣工
1985年(昭和60年)9月
ほのかなガス燈のあかり
ほのかなガス燈のあかり

ほのかなガス燈のあかり

明治の頃からずっとここにあるような、レトロな建物に調和したガス燈。かつての「大大阪」のイメージにあわせて、2007年に初めて点灯され、2014年に現在ある55基すべてのガス燈が設置、点灯されました。デザインを担当したのは、世界で活躍するプロダクトデザイナーで当組合代表理事の喜夛俊之氏。今では三休橋筋の美しい街並みを特徴づけるシンボルとなっています。

栴檀の木の緑のトンネル
栴檀の木の緑のトンネル

栴檀の木の緑のトンネル

道の両側に植えられているのは、センダンの木。街のシンボルとなるような街路樹として選ばれ、2007年に植樹されました。理由は、三休橋筋の北側の起点に栴檀木橋があること、また、筋の北方面では「栴檀木橋筋(せんだんのきばしすじ)」と呼ばれたことにちなみます。
センダンの並木は春には新緑が輝き、初夏には紫色の小さな花が咲き、夏には傘のように広がる枝に葉が茂り絶好の木陰に。また晩秋には葉や実が色づき、都会にあって季節感を伝えてくれます。

道路銘板
道路銘板
道路銘板
道路銘板

道路銘板

信号近くの敷石の間にあるイラストつきの表示。この道路銘板は、三休橋筋と東西の15にわたる通りとの交差点に設置されています。それぞれの通りの歴史や文化を表したデザインで、愛日(あいじつ)、集英、船場、汎愛(はんあい)の地元の4連合振興町会が協力して設けられました。ガス燈を見上げつつ、足元の銘板15種類にも注目して歩いてみてください。

船場「まちの案内板」

船場「まちの案内板」

2016年から大阪市とまちづくり団体の船場倶楽部、地元の企業などが協力して、船場の魅力を伝える「まちの案内板」の設置が進められてきました。それぞれのまちや通りにまつわる歴史やエピソードを紹介した案内板は2021年9月現在、合わせて22基が完成。三休橋筋の案内板は栴檀木橋の南、土佐堀通に面した淀屋橋スクエアに設置されています。

老舗、名店いろいろ
老舗、名店いろいろ
老舗、名店いろいろ

老舗、名店いろいろ

沿道では老舗といわれるお店も自然になじんでいます。大阪で300年以上続く鰻料理店、1925年(大正14年)創業、地元で愛されているおそば屋さん、1930年(昭和5年)創業当時の雰囲気をほぼ保つ理髪店など。いずれも店構えも風情たっぷりで歴史を感じます。気軽に訪れてみてはいかがでしょう。

古いものを今に生かす
古いものを今に生かす

古いものを今に生かす

レトロな建物が点在する沿道では、もとあった姿とはちがう形で保存されて、景観に大いに生かされているものもあります。
本町通の北東、ビルの西側に屋外展示されているのは、彫刻家古賀忠雄によるレリーフ「生まれいずる喜び」。旧丸紅大阪ビルに設置されていた彫刻で、建て替えの際、壁ごと切り取られ、大阪丸紅ビルに移されました。大阪丸紅ビルは現在、メットライフ本町スクエアへと変わりましたが、彫刻は現在もこの地で保存されています。
また、今橋通に面した高層マンションには、同地にあった近代建築が生かされています。もともとは辰野金吾が設計し、1918年(大正7年)、大阪農工銀行として竣工。1929年(昭和4年)に國枝博により改築され、その後、繊維・アパレル商社の本社屋として使われました。マンションを建設するにあたり外壁を保存し、2003年に竣工。テラコッタで覆われた重厚な意匠が周囲の景観と調和しています。

旅するように世界を味わう
旅するように世界を味わう
旅するように世界を味わう
旅するように世界を味わう

旅するように世界を味わう

大阪を代表するフランス料理店をはじめ、スペイン料理店、イタリア料理店、シガー(葉巻)とキューバカクテルのお店など、三休橋筋では南北に移動するだけでさまざまなお店に出会えます。地元にいながら異国情緒を味わえるのも魅力です。

街中で憩える空間
街中で憩える空間

街中で憩える空間

ゆっくり散策できる道になるようまちづくりを進めてきたこともあり、三休橋筋には公開空地に座れるスペースを設けているビルがいくつかあります。街歩きを楽しむ人も働く人も、ちょっと止まってひと休み。すると、また元気に歩けそうです。

路上の植物
路上の植物
路上の植物
路上の植物

路上の植物

シンボルツリーの栴檀の木だけではなく、三休橋筋を歩いているとあちらこちらで緑が目に入ってきます。お店の個性が感じられる花壇や、季節の花で彩られたマンションの花壇、リズミカルに並べられた観葉植物…。栴檀の木は冬は落葉するものの三休橋筋は一年中、花や緑が見られます。

昼と夜、風情の移ろい
昼と夜、風情の移ろい
昼と夜、風情の移ろい

昼と夜、風情の移ろい

朝から昼、夕暮れ時、そして夜へ、ガス燈とともに景色が移ろうのも三休橋筋ならでは。同じ場所を通ってもその時々で印象が変わり、撮影するのも楽しくなります。ぜひ時間を変えて何度も歩いてみてはいかがでしょう。